「想像を超える創造」de'plas

COLUMN − コラム −

− 店舗デザイン − 福岡・大名に12月3日にオープンしたもつ鍋たじまや様について

【上質な空間でシズル感を演出】

 

 

たじまや2「たじまや」は福岡市の大名にあるもつ鍋屋である。現在この地域は数多くの飲食店やBar等が立ち並び、福岡市の方も国家戦略特区の認定を利用し、天神きらめき通りを歩行者天国と化してイベントを開催するなど、若者にとって絶大な人気を誇る名スポットである。

 

オーナーからの要望は、照度を下げて落ち着いた雰囲気のあるナチュラルテイストの空間としてほしいとのこと。担当デザイナーのコンセプトは、時と場合によって空間の表情が変化し、かつ空間にゆとりとプライベート感を出すこと。それにより上質な空間を造ることとした。

照明はエントランス・アプローチを間接照明により幻想的な空間とし、飲食スペースは必要最小限のダウンライトを設置し、雰囲気重視の落ち着いた空間とした。

 

 

また、照明器具には全て調光機能を設けることにすることで、お店の開始直後や団体客が入っている際には、明るめの照度で活気溢れる空間、営業終盤やカップルが多い際には、照度を下げてムードのある空間と、その時々で様々な表情をみせる空間として営業を行うことが出来る。

 

たじまや1

ゾーニングに関しては、建物の区画がうなぎの寝床のような縦長の区画であったため、あえて厨房を入口付近に配置し、お客様にはエントランスから幻想的なアプローチ空間を通って席について頂くようにすることで、席に着くまでの過程で上質な空間を感じて頂けるよう工夫した。

 

飲食スペースに関しては、ゆっくりと食事を楽しめるように、各席のスペースを広くとり、席と席の間を仕切る間仕切りに関しても、縦格子と横格子状の仕切りをうまく使い分け、席に着いたとき、お客様が枡格子状に見えるようにすることで、奥行き感があり、かつプライベート感のあるデザインとした。

素材には、ナチュラルなイメージを持たすため、エントランスの塗り壁や床の石張り、そして天然木のパーティションなど自然素材を随所に使用し、アクセントとして上品なイメージを持たせるため、銀絹の壁紙を入口正面に使用した。

 

たじまや3

そして、これらの随所に施した一つ一つの仕掛けが積み重なり上質な空間を演出することで、食欲を刺激するような瑞瑞しさ(おいしそうな感じ)と五感を刺激するような感覚がシズル感として現場の空気を包み込んでいけるように全体の計画をまとめている。お客様(オーナー様)とその先にいる第2のお客様(飲食ユーザー様)が一緒に創っていく臨場感にデザインというエッセンスを加えることで、上質な空間でシズル感を演出するという新たな価値を見出している。