CONCEPT − コンセプト −

クールなコンクリートに咲く、確かな存在感

 

「ララフー」は福岡市の赤坂にある美容室である。

この場所は大正通り沿いで交通量も多く、とても人の目に留まりやすい好立地に存在する。

 

当初このテナントはスケルトン状態の冷たい空間であった。オーナーからの要望は、二つ。意匠面に関してはデザイナーの感性を尊重し自由な発想で、との事。機能面に関しては、美容室の中でネイルも行う事業形態となるため、その目的を最大限に生かす最適な空間構成を、との事であった。

 

担当デザイナーのコンセプトはフランスのアパルトマン(一人暮らしの部屋)。デザインのポイントとしては、既存の躯体の状態が良かったため、壁や梁を打ちっぱなしのコンクリートのまま生かし、クールなイメージを部分的に残した。また、床は木目調のフロアタイルで暖かみを持たせ、デザイン性に富んだヘリンボーン貼りとした。

 

空間に花を添えるアクセントとして、洗練されたデザインの照明器具を各所に取り入れ、ライティングはダウンライトと間接照明で照度を取り、空間に表情のある陰影と変化を生み出した。また、二階に位置するこの美容室は、店内の様子が伺えるガラス張りのファサードとなっており、一階から見上げると普遍的な薫りが漂うデザイナーライトが上質な空間と確かな存在感を演出している。

 

ゾーニングを進める上で、テナント面積に対してオーナーの要望が多かったため、動線を取るのが難し
く、空間全体に圧迫感があった。それを解消するために、オーナーの要望の席数よりあえて席数を減らし、空間にゆとりを持たせた。それにより動線の確保がはかられ、オープン後に利用するスタッフの方々の作業効率の充実と、ゆとりのある空間によってお客様がより過ごしやすくなるという快適さの両方を得られるかたちとなり、空間の圧迫感を解消する最適な計画となった。

 

伝統と革新が融合した独特の世界感が、訪れた人々を惹きつけ魅了している。