「紅月」は福岡市の大名にあるもつ鍋屋である。この地域は、九州最大の繁華街・天神の西隣に位置し、数多くの飲食店や物販店等が立ち並び、特に若者に人気のスポットである。
当初この場所は店舗が立ち並ぶ大名の中心地でありながら、ガレージとして利用されていたのであるが、飲食店としてコンバージョンを行う事により、地域性を最大限に生かす空間として再現したのである。
オーナーからの要望は女性同士でも来たいと思うようなハイセンスなデザイン空間。
「あのお店おしゃれ」「落ち着いた雰囲気でいいね」「変わったお店で面白い」「高級感があっていいね」等のおしゃれなデザインと居心地の良さを感じて頂きながら料理を美味しく食べて、満足してもらえるような空間造りが担当デザイナーのコンセプト。
ファサードは新たに増築してガラス張りとし、店内のデザインやにぎやかな雰囲気が伺えるようにした。また、ファサード下部には間接照明を設け、浮遊感を出すと共に光を外に向けて発信し、存在感を持たせた。
仕上げ材には西欧の海外クロスを使用し、和的な要素と掛け合せてハイブリットな空間を演出した。意表を突いた面白さが、デザインの幅を広げ、魅力を増している。
アクセントとして、壁面造作には鏡を利用し、前面に丸柱の格子を波状に立て、下部にはアッパーライ
トを仕込んで、空間全体の圧迫感を和らげつつ、変化を与えた。
離れの個室はプライベート感を出すために、窓を設けず壁面上部にガラスブロックを設ける事により、緩やかな夜の光を取り入れた。室内は高級感のある雰囲気で、記念日や最高のおもてなしをしたい方に好まれる様な特別な空間となっている。
中二階の半個室は、オーナーの「居心地の良さを失わず、席数を増やしたい」との要望から生まれたアイデア。奥まって床が掘り下がった一階は、ゆとりのある落ち着いた空間となっており、中二階の方は店内全域を眺められる解放感のある空間となっている。どちらも指定席の予約が入る人気ぶりで、遊び心を持った空間が新たな価値を創出している。
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